赤ちゃんの頭の形の治療を始めます
最近、診察時・健診時などに赤ちゃんの頭の形の相談を受ける事が増えてきました。
赤ちゃんの頭のゆがみの原因は、寝ぐせ、子宮内や産道を通るときの圧迫など、病気ではないものがほとんどです。
たとえば寝ぐせでは、頭を同じ方向にして寝るために、頭の重みで下になった部分が骨に変形が起きてゆがみが発生します。
中には頭蓋骨縫合早期癒合症という疾患の場合もあります。
基本的に脳の成長や機能に影響はないと言われていますが、我が子の頭にゆがみがあれば、病気でなくとも親御さんが不安に思われるのは当たり前の事だと思います。
また、中には将来的に顔の左右差が発生し、美容的な問題だけでなく歯列、視力、眼鏡がかけにくい等の問題が発生する可能性があります。
頭のゆがみには、次のような種類があります。
① 斜頭症
平行四辺形に見え、耳の位置についても左右差が発生する場合があります。寝るときに向き癖がつよい赤ちゃんに見られます。
② 短頭症
いわゆる絶壁頭。あおむけ寝の時間が多い赤ちゃんに見られ、頭の前後の長さが左右に比べて通常の比率より小さくなっています。
③ 長頭症
頭の前後の長さが横幅より大きく、横向きの姿勢が多い赤ちゃんや、新生児期に保育器で長く過ごした赤ちゃんに見られます。
あたまのゆがみを改善する方法は大きく分けて、理学療法とヘルメットによる治療があります。
理学療法には「体位変換」「タミータイム」があります。
体位変換
あかちゃんの向き癖を生活の中で意識して矯正する方法です。
タミータイム
赤ちゃんが起きている時に、うつ伏せで過ごす時間をふやし、上半身の筋肉の発達を促して頭への圧力がかかることを防ぎます。
※ 窒息などの事故を防ぐため、適切な指導を受けた後で、固いマットや床の上で、保護者がみている時に行ってください。
つづいてヘルメット治療の説明です。
ヘルメット治療
赤ちゃんにオーダーメイドで作成した専用のヘルメットを装着することで頭の形状を改善する治療法です。
頭の平らになった部分にヘルメットで空間をつくり、赤ちゃんの骨の発育を促してゆがみを矯正する治療法です。 赤ちゃんの頭に圧力をかけて治療する訳ではありません。
頭のゆがみについての最初の相談や、ゆがみの程度の測定は医療保険が適用されます。
ヘルメット治療は保険適応外のため、自由診療(全額自費)になります。保険適応外ですが、医療機器として日本で承認されています。
当院では日本製の『ベビーバンド』を使用しています。
治療の開始時期
生後3-6か月に開始するのが望ましいです。それ以降では改善効果は低減する傾向にあります。
治療期間
治療開始時の赤ちゃんの月齢によって異なりますが、概ね2-6か月です。早く開始するほど、短い期間で終了できます。
新生児期から向き癖が強く、頭のゆがみが気になる場合、1か月健診やワクチンデビューの時に相談してみてください。早めに予防対策をするとゆがみの進行を止めたり、改善させることができる場合があります。
また、頭蓋骨縫合早期癒合症などの疾患に早期に気がつくことができるかもしれません。
ヘルメット治療をする場合も、早めの治療開始でヘルメット治療の効果を高めることができます。
赤ちゃんの頭のかたちのゆがみについて予防や治療、費用などについて詳しい説明を希望される場合は、通常診療でお受けしていますので、お気軽にご相談ください。