9価子宮頸がんワクチンのギモンにお答えします
令和4年の4月から、HPV(子宮頸がん)ワクチンの定期接種は、他のワクチンと同じように実施していくことになりました。
現在接種できるHPVワクチンには3種類あります。今回は最近になって定期接種が可能になった9価HPVワクチンについて、疑問に答える記事を書きます。
HPVワクチンとは子宮頸がんの原因になるヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンです。9価HPVワクチンは、従来のワクチンで予防できるHPV(6/11/16/18型)に加えて、さらに5つの型(31/33/45/52/58型)が予防対象になります。国際共同試験では、従来の4価ワクチンと同等の効果に加え、HPV 31/33/45/52/58 型による病変が97.4% 減少したことが証明されました。
試験において頻度の高い副反応は以下のようなものでした。
注射部位の疼痛・腫脹・紅斑
4価HPVワクチン 84.9%
9価HPVワクチンでは90.7%(うち日本人では81.9%)
疼痛
4価HPVワクチンでは83.5%
9価HPVワクチンでは89.9%(うち日本人では81.9%)
失神
0(失神寸前の状態が3症例(3.0%))
9-15歳女子を対象にした国内試験では、注射部位の副反応が95.0%(100症例中95症例)、特に疼痛は93.0%(100症例中93症例)に認められました。
9価ワクチンは子宮頸がんの原因のおよそ約80-90%を防ぎ、感染予防効果は2価・4価ワクチンより高いとされています。
予防効果の持続に関しては、HPV感染予防、前がん病変予防効果が
2価のワクチンで 最長9.4年
4価のワクチンで 最長14年(中央値11.9年)
9価のワクチンは 新しいワクチンのため、今のところデータはありません。
9価のワクチンは新しいワクチンではありますが、新型コロナワクチンのようなまったく新しいワクチンではなく、従来の2価4価のワクチンに、おなじような原理で予防できるウイルスの型を増やして製品化されているものです。そのため、有効性や安全性については、ある程度の予測が可能だと思われます。ただし、上にも書いたように長期的な効果や副反応は、ほかのワクチンと同程度であると思われますが、今のところはっきりしたデータはありません。
現在HPVワクチンを接種する場合、原則として初回に選択したワクチンを最後まで打ち続けることが推奨されています。
子宮頸がんは年間約1万人が罹患し、約2,800人が死亡しています。特に50歳未満の若い世代での増加が問題となっています。一方HPVは、生涯ですべての女性のうち、50~80%が感染するとみられます。つまり、子宮頸がんは、ごくありふれたウイルスによる疾患だといえます。
この記事が、皆さんのワクチン接種の参考になれば幸いです。
なお、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)に関するQ&A集が厚労省のサイトにあり、参考になります。(厚労省のサイトはこちら)