5~11歳の方お子さんに新型コロナワクチンを打つかどうか迷われている方へ。
5~11歳のお子様に新型コロナワクチンを打つかどうか、迷われている保護者の方も多いと思います。
ここでは、発表されている事実をご紹介しつつ、私見も交えてワクチンを接種する・しないの判断の材料にしていただける記事を書きましたので、ご一読ください。
まず5~11歳の小児に使用できるワクチンは、ファイザー社製になります。
以下はワクチンの海外で5~11歳の小児へのワクチン投与治験で得られたデータです。(日本では同様の治験は行われていませんが、様々な検討からワクチンの効果に人種差は認められず、日本の小児にも同様の効果が期待できるとされています。)
効果については以下の通りです。
このワクチンを2回接種して1ヶ月経過してからコロナウイルスに対する中和抗体を測定すると、プラセボ(本物の薬と見分けがつかないが有効成分が入っていないもの)と比べて100倍以上の差を持って上昇が認められました。
これは他の年齢の抗体価の上昇と同じ程度でした。つまり、小児だからワクチンの効果が薄いということはなさそうです。
副反応について
発赤、腫脹、疼痛、発熱、疲労、頭痛、悪寒などが多く、他の年齢と比べて大きな差はありません。また、その程度も軽症から中等度のものがほとんどで、副反応による死亡の報告はありませんでした。
従来危惧されていた心筋炎・心膜炎の発生は、実際にコロナに罹患して合併する心筋炎・心膜炎の頻度よりも低く、発生したとしても、その程度は軽かったと報告されています。
これらをふまえて、小児科学会では
新型コロナワクチンを5~11歳の小児に接種する事について、以下のような提言を行っています。
①5~11歳の健康な子どもへのワクチン接種は12歳以上の健康な子どもへのワクチン接種と同様に意義があると考えています。
②2歳未満(0~1歳)と基礎疾患のある小児患者において重症化リスクが増大することが報告されています。
③基礎疾患のある子どもへのワクチン接種により、COVID-19の重症化を防ぐことが期待されます。(ワクチン接種を考慮した方がよい基礎疾患とその状態についてはこちらを参照)
④基礎疾患を有する子どもへのワクチン接種については、本人の健康状況をよく把握している主治医と養育者との間で、接種後の体調管理等を事前に相談することが望ましいと考えます。
以下は私見を交えてのまとめです。
現状小児のコロナ患者が重症化する例はかなり少ないと思われるので、ワクチンを接種しないという養育者の選択を否定する物ではありません。
ただし、小児がコロナに罹患することで、同居されている乳幼児、高齢者、基礎疾患がある方などへの影響を心配される場合、保護者の方の仕事の関係で、出来るだけ新型コロナにかかるリスクを減らしたいと思われる場合には、接種するメリットがあると思われます。
要するに、健康な子どもへのワクチン接種には、メリット(発症予防等)とデメリット(副反応等)を本人と養育者が十分理解し、十分に相談の上で接種をするかどうかを決めて頂くのがよいと思われます。